石楠花登山教室「山へ行こう.2」


1.コンパスの使い方 2.救急法 3.山の天気 4.山行計画の立て方





2.救急法



限られた荷物しかない山の上で発生するアクシデントに即座に対処できるように、持ち歩ける荷物と救急法(対処方法)を学習し短い時間で安全を確保できる手段を考えることが必要である。山行する前にしっかり身に付け実践できるようになることで、より安心して山に行けるようになる。


救急法とは:

・適切な取り扱いにより患者の生命の安全を確保する

・症状を現状より悪化させない

・以後の医師の治療に障害を残さない

・患者の精神の安定をはかり苦痛を和らげる

・患者の精神の安定をはかり苦痛を和らげる


外科的疾患:

救急法が適切でない場合、以下のような状況が発生する。このようになると正常な判断が出来なくなるので、本人が気づかない場合、周りの人が早めに気づいて教えてあげる必要もある。

ショック―外界からの強い刺激によっておこる

     全身諸器官の働きの乱れをいう

原因―・出血を長引かせる

     ・苦痛を長引かせる

     ・手荒な取り扱い

     ・不適当な運搬

     ・過度の暑さ寒さにさらす

徴候―・顔面蒼白

     ・冷汗をかく

     ・意識がうすれるく

     ・脈拍が不規則になり体温、血圧の降下をきたす

予防―・適当な体位に寝かす

     ・体温を逃さぬように保温する


☆ショックが現れる前に救急法を行なうべきであるが、 徴候が現れてしまったら、頭をやや下げ気味に寝かせ保温に気をつけ アンモニアや酢のような刺激性の強いにおいをかがせ、吐き気がなくなれば酒やコーヒーを少量のませる。


外傷手当ての方法:

滑ったり転んだりぶつかったり、本人が注意していても避けられない事故が発生する。冷静に対処すると言うことは、正しい処置を施すまでの時間が短いことでもある。

『止血法』

直接圧迫法―清潔な布を傷口にあて圧迫、包帯する

間接圧迫法―傷口より心臓に近いほうを縛る

      または動脈を骨に向って指で圧迫する

  止血帯―傷口より心臓に近いところを縛り、

      さらに棒などを通しねじりあげるのだが、

      非常に危険なため最後の手段とする

      非常に危険なため最後の手段とする


『動物に噛まれた傷』

・ 石鹸を使い10分以上流水にて洗ってから、さらに消毒する


『ハチに刺された傷』

・ 針が残っているので、中の毒をさらに押し出さないよう十分注意しながら毛抜きなどで除去し、消毒する。

・ スズメバチの時も毒素は水で流れるので10分以上流水にて洗う。

・ ショックをおこすことがあるので患者の状態に充分注意し大丈夫なら動いてよい。山小屋で報告する。


『まむし』

・ とにかく水を大量に飲ませる。そして安静をたもち、毒のまわりを遅くする。

・ 救援を頼むか山小屋まで安静状態のまま運ぶ。

・ お勧めできないが、傷口より心臓に近いほうに消毒したナイフで 深さ3mmの×印に切り血液を吸い出す方法もある。 動脈を間違って切ると大変危険である。 心臓に近いほうを縛ると、先の方の毒のまわりが極端に早くなるのでこれも危険。


『打撲傷』

・ 頭部、内臓の場合要注意である。

・ 安静&保温。軽い場合、はじめ冷やし痛みが去れば暖める。


『骨折、脱臼』

・ 患部に副木等をあて固定する


『捻挫』

・ 捻挫に見えて靭帯を損傷していたりアキレス腱が切れかかっていることもあるので注意する。

・ とにかく冷やす。出来ればすぐに冷やす。

・ 歩行中であれば、肌がかぶれないかを患者に確認し、湿布をはり上からテーピングで固定する。あとで冷やす。

・ つった場合なども、痛い部分を布などでしっかり縛るととりあえず歩きやすくなる。


『火傷』

・ 患部の組織をいためない。衣服など無理にはがさず衣服の上から冷水で冷やす。


『凍傷』

・ 皮膚摩擦をする。体温程度の湯につける。

・ 心肺停止状態の時も皮膚摩擦をするが、いきなり全身を暖めてはならない。湯で絞ったタオルなどで心臓だけ暖める。


『マメ、靴ズレ』

・ 痛いところにバンソウコウを貼る。

・ 水ぶくれになった場合は、消毒した針でマメを潰しバンソウコウを貼る。


『雪目』

・ サングラス・ゴーグルをする

・ 焼けすぎると涙が止まり目を閉じても熱さを感じるようになるため、上記装備がない場合は、熱を感じ始める前にまばたきを意識して行い、目を細めて雪を少しでも見ないようにする。


☆水を飲ませてはならない場合        ☆水を与えなければならないとき

 ・意識のないとき               ・ひどい火傷

 ・吐き気のあるとき              ・まむしに噛まれたとき

 ・頭部または内臓の打撲            ・日射病にかかったとき

 ・早く手術を受けさせる必要のある場合


内科的疾患:

時間をかけてゆっくり進行するので、他人の目では気づかないことも多い。早く気づくためには、休憩中には話しかけて、その人の反応を確かめることが必要である。


『高山病』

・ 糖分の多い温かい飲み物を与え暖かくして寝かせる

・ ビニール袋を口に当てその中でしばらく呼吸させる

・ 重度の場合下山させる


『下痢、腹痛』

・ 熱が伴わなければ腹部を保温する


『下痢、腹痛』

・ 熱が伴わなければ腹部を保温する


『風邪』

・ 安静と保温。頭部は冷やす。


『日射病、熱射病』

・ 日射病は陽射しがあれば誰でも注意するが怖いのは熱射病。汗が出ていたのに身体の水分がなくなると汗が出なくなり身体に熱がたまる。ともに、風通しの良い日陰で寝かせ、頭と胸を冷やし、水を飲ませる。


『一酸化炭素中毒』

・ 換気に気をつけ、少なくとも3時間は安静を保つ。


準備:

山行前に、あらかじめ用意することで、あせり、不適切な対応、を防止する。


『時刻表(1日分のダイヤ)』

下山場所の時刻表は、予定の遅れを考慮し最終便まで確認する。

エスケープルートの歩行時間、エスケープルートの時刻表を確認する。

『救急用の道具、医薬品』

ハサミ、ピンセット、毛抜き

滅菌ガーゼ、三角巾、バンソウコウ、マキロン、

テーピングテープ(固定用、筋肉保護用)

鎮痛剤、風邪薬、下痢止め、ビオフェルミン、乗り物酔い止め、胃薬

(文責:小野)

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